「都構想」の最大の問題は「暮らしが壊される」こと
大阪市を残して 笑顔あふれる保育園を
[PDF]大阪市をよくする会ニュース2020.10.1.(430号)表
[PDF]大阪市をよくする会ニュース2020.10.1.(430号)裏
2020年9月30日
大阪市長 松井一郎 様
明るい民主大阪府政をつくる会 事務局長 荒田 功
大阪市をよくする会 事務局長 福井 朗
大阪市を廃止し特別区設置の賛否を問う「住民投票」の実施を前に、大阪市の「広報」のあり方への疑問と批判が多くの市民からだされている。
1つは、「特別区設置協定書」についての「住民説明会」が開催されているが、反対派の意見を資料として配布した前回のやり方を否定し、「賛成」の立場一辺倒になっていることである。前回に比べ大幅に開催回数が減らされ、市民の疑問・意見を反映する機会も極端に減らされている。
2つは、各戸に配布されつつある「説明パンフレット」の内容が、「協定書の内容について分かりやすい説明」(「大都市法」)の域を大きく超え、まるで維新の会の宣伝物と見間違うような一方的な内容になっていることである。
3つは、この間、市立保育所で配布されている情報紙(まみたん)に維新の会の全面広告が掲載されたまま配布され、市が「回収指示」をださざるをえないなど、特定政党の政治的主張に加担した対応があとをたたないことである。
これらはメディアからも「大阪市広報紙 都構想推し?」(読売新聞9月14日夕刊)、「『都構想広告』と苦言」(大阪日日新聞9月20日)、「市広報紙 都構想広告?」(朝日新聞9月22日)などと指摘されている。
さらに、「副首都推進局」が作成したPR動画をめぐり、8月の会議で職員が「特別区制度の実現は市役所の基本方針。われわれとしては賛成に誘導するために、あくまでも市政広報でありますので」などと発言したことが明るみにだされ、知事、市長が「不適切な発言だった」と認めた。市の職員は「市民全体の奉仕者」として、「公正・中立」の立場が強く求められているにもかかわらず、「賛成に誘導」などと「維新の奉仕者」に化したごとき発言は看過できない。
大都市法(7条2項)は、大阪市長に対して「選挙人の理解を促進するよう、特別区設置協定書の内容について分かりやすい説明をしなければならない」と義務付けている。この規定は行政に対して「特別区設置協定書」の説明を公正・中立に行うよう求めたものであり、「説明」の際に、「法定協議会」や議会において表明された反対意見を反映することはもとより、市民が「公正な判断」ができる内容に是正することは当然である。
市が発行した「説明パンフレット」については、市民の公正な判断を妨げる、一方的主張が並べられている。その主な点は次のとおり。
1.「なぜ、特別区制度が必要なのか」「特別区制度の意義・効果(大阪のさらなる成長を実現)(住民に身近なサービスを充実)」など協定書の記載内容から逸脱し、「大阪市廃止」を推進する維新の会の主張にそった内容に多くの紙面が使われている。
2.「特別区の設置による経済効果」(嘉悦学園試算)が掲載されているが、これは市民から間違いを指摘され88か所も修正されるような粗雑なレポートあり、専門の大学関係者からは「卒論なら落第」とされ、推進派の学者からも経済効果が検証されていないと指摘されている。
前回(2015年)の「説明パンフレット」には協定書の内容に含まれないこのような内容は掲載されておらず、その異常さが際立っている。
3.コロナ禍の税収悪化などの影響を加味せず、大阪メトロの昨年の黒字を意図的に反映させ、「特別区は収支不足なし」を偽装する「財政シミュレーション」を掲載している。
4.協定書の説明においても、住民サービスに関わる記述において、協定書にある「特別区の設置の日以後」は住民サービスについて「内容や水準を維持するよう努めるものとする」という記述をまったく説明せず、「大阪市が実施してきた特色ある住民サービスは維持」(16㌻)と断定し、協定書の内容を正しく説明していない。
5.「皆さんからのよくあるご質問」への回答でも「大阪市の住民サービスの水準をそのまま特別区に引き継ぎます」「入場料など、住民サービス維持の観点から、市民優遇措置は継続します」などと協定書の内容を逸脱した記述をしている。