府議会・大阪市会における大阪「都構想」の「協定書」議決に抗議する!
「大阪市廃止・解体」に再びノーの審判を!
2020年9月3日
明るい民主大阪府政をつくる会 事務局長 荒田 功
大阪市をよくする会 事務局長 福井 朗
「大阪市廃止・解体」に再びノーの審判を!
大阪府議会(8月28日)、大阪市会(9月3日)は、大阪市を廃止し4つの「特別区」に解体する「協定書」を議決しました。この結果、60日以内に大阪市の廃止・分割を問う「住民投票」が再び行われることになります。
私たちは7月30日、新型コロナ感染が再び拡大するもとで、大阪府、大阪市に対して、医療体制の充実、少人数学級の実施、公立病院や保健所の機能の充実と人員体制の拡充を求めてきました。さらに「大阪市を廃止する協定書の採決を止め、コロナ対策に全力を!」の陳情署名44,008筆を大阪市会に提出しました。大阪では新型コロナ感染拡大による死者が8月には62人にのぼり、いのちが脅かされているなか、「協定書」の議決を強行した維新の会と公明党、一部の自民党府議に対して、満身の怒りをもって抗議するものです。
住民サービスは必ず低下する
大阪市を4つの特別区に分割すればスケールメリットがなくなり必ず経費が増大します。法定協議会に出された資料には新庁舎建設を先送りしても初期コスト241億円に加え、毎年30億円のランニングコストという無駄な経費が必要になります。さらに、職員増は少なく見積もっても年21億円~26億円の支出増です。一方、特別区の一般財源は大阪府に多く吸い上げられるため3分の1に縮小し、大阪府から「お小遣い(調整交付金)」をもらう従属団体となってしまいます。しかも、国からの財源の地方交付税は特別区に必要な年額を約200億円下回ってしか交付されないため収入減は確実です。その結果、住民サービスの切り捨てが起こります。
住民に説明が出来ない中で、「住民投票」を実施することは法の主旨に反し、民主主義を否定するもの
議決された「協定書」は、自治体の体をなしていない「合同庁舎」、災害対策をも困難にするバラバラの職員配置など、前回案以上にひどい内容です。それを糊塗するための新たなゴマカシが行われています。
それは4つの特別区に分割した際の財政シミュレーションです。当初のシミュレーションは、コロナ禍以前のもので「使い物にならない」との批判があったことから、8月11日に「更新版」が出されました。
その内容は、①コロナによる支出・税収の動向は「試算は現時点で困難」だとしてコロナ禍の影響を反映せず、②大阪メトロは昨年の黒字から今年第1四半期が赤字なのに、昨年の数字を使って納入金などが年71億円などと前のシミュレーションよりも増額する、③市営プール・スポーツセンター・老人福祉センターなどの廃止・削減による「改革効果」を盛り込むなど、「住民サービス維持」がまったくのウソであることが判明しています。これで「大阪市を廃止しても収支不足は生じない」というのは、市民を騙すものです。正しい情報を市民に提供する義務を持つ府・大阪市の責任は重大です。
「大都市特別区設置法」は、「協定書の内容について分かりやすい説明」を義務付けています。5年前には39回開催した住民説明会が、今度は8回しか開催しないなど、住民に対する説明はまったく不十分です。
130年の歴史をもつ大阪市の廃止を問う「住民投票」がこのように市民の権利である「情報開示」「住民参加」のいずれも阻害されるなかで実施されることは民主主義の否定と言わなければなりません。
大阪の未来は私たちの手で
維新は大阪「都構想」で「大阪の成長をスピードアップ」すると言いますが、成長の中身をカジノ・IRやインバウンドの増加としています。これらはコロナ禍によってことごとく見直しが求められるビジョンです。
私たちがポスト・コロナを展望した時、これらのビジョンからの大転換が求められます。今、必要なことはPCR検査の抜本的拡充など、感染拡大を収束させる手段を強化することです。そして公務公共職場を中心に、人も予算も投入すべきではないでしょうか。子や孫に安心して住める大阪を届けたいとの願いを実現するために、私たちが提起した「なすべきは『大阪市廃止=都構想』の「住民投票」ではなく、いのちと暮らしを最優先した明日の大阪への転換です」(7月30日)による議論をよびかけます。
大阪の未来は私たちの手でつくる。この決意を固め、来たる「住民投票」で必ず勝利し、再び大阪「都構想」ノーの審判を下すため、全力でたたかおうではありませんか。みなさん、ご一緒に頑張りましょう。
以上