大阪の新型コロナ対策の科学的検証と府民的点検を呼びかけます
― なすべきは「大阪市廃止=都構想」の「住民投票」ではなく
いのちと暮らしを最優先した明日の大阪への転換です ―
2020年7月30日
明るい民主大阪府政をつくる会
大阪市をよくする会
新型コロナ感染症が、東京や大阪で再び広がりをみせています。このもとで、いま求められているのは、大阪府・市政のこれまでの「新型コロナ対策」の「科学的検証」と「府民的総点検」を行い、直面するコロナ対策に全力をつくすことです。
そして、こんな時に強行しようという「住民投票」は中止し、この間の教訓にたった「コロナ後」のよりよい大阪づくりへの府民的討論をよびかけます。
1.新型コロナ対策―大阪府・市政が問われています
この間、メディアは「大阪モデル」をはじめ、「吉村知事持ち上げ」に終始してきました。しかしいま、大阪府・市政の「コロナ対策」について各界から、強い不安と危惧する声があがっています。
① くるくる変わる「大阪モデル」
「結果を見てから基準を決める。科学でこれをすると信頼が揺るぎます」(5月23日の運用変更に。山中伸弥教授)。「早期の兆候を全く見ておらず、府民の感染予防の観点から許容できない。(赤信号の基準も)現場の実態と乖離している」(7月3日に点灯しにくくする変更に。茂松茂人・大阪府医師会長)。
② PCR検査の遅れ
かつて54あった保健所が18に減らされるなか、「相談殺到 保健所がパンク。追跡も難航 残業124時間」(「読売」6月25日)。
③ 医療体制の不安
「吉村知事の把握していないところでそうした実態(『救急を断るのは医療崩壊』)が存在していた」(6月8日大阪民主医療機関連合会)
④ 政令市でワースト「給付金給付の異常な遅れ」
7月上旬には全国で7割届けられる中でも、大阪市は10%台でした。
⑤ あいつぐ倒産。追いつかない中小企業への支援
「大阪(6月)の倒産全国最多」(帝国データバンク)。「休業要請外支援金支給決定済は2割」(「読売」7月15日付)。
⑥ 学校現場の混乱
フェイスシールド全校配布に、大阪小児科医会が「学校生活では、児童・生徒にフェイスシールドの着用は必要ありません」とポスターを作成。
⑦ 「Go To キャンペーン」に追随
「松井一郎・大阪市長、Go Toキャンペーン批判に喝! 『無理というのは簡単』」(7月17日関西ウオーカー)
これまでの「新型コロナ対策」の検証なしに、直面している感染のひろがりへの対応も、コロナ収束後の新しい大阪への道も開けません。
2.検査数引き上げと医療体制の整備、補償と一体の自粛要請を
陽性者数が過去最多を更新し、また、新たに感染震源地(エピセンター)―感染者が集まり感染が持続的に集積し、そこから感染が広がる地域―が形成されている危惧が出されているもと、これまでにない対策が緊急に求められています。
「感染震源地を明確にし、その地域の住民や事業者とそこで働く人々全員にPCR検査をする」「医療・福祉従事者と入院患者・入所者をはじめ誰でも、いつでも、何度でも受けられるPCR検査に向けた体制を急いでつくる」「感染拡大のピーク時に必要となる病床を確保する」「軽症・無症状の陽性患者の隔離を確実に行えるよう宿泊療養施設を確保する」「コロナ受け入れ病院と通常の医療を担う診療所・病院の双方に、抜本的な減収補填を行う」「補償と一体の休業要請を行う」「財源保障を国に強く求める」ことが急務です。
大阪のそれぞれの現場から、こうした声と運動を大きく広げ、大阪府・市政や国に強く迫ろうではありませんか。また、メディアにも冷静な検証と公正な報道をよびかけます。
3.「大阪市廃止=都構想」の「住民投票」は二重の逆行に
維新は、11月1日に住民投票を強行するといい、松井代表は「10月25日総選挙」となれば、「同時選挙も」とさえ語っています。
しかし、それは二重、三重の逆行です。何より、コロナ禍のもと、大都市制度の改変という「百年の大計」を市民的に議論できる環境にはありません。
新型コロナ対策は、政治的立場を超えた取り組みが何より重要で、市民に対立と分断を持ちこむべきではありません。
現在の制度案でも膨大なコストと経費増で財源のない「特別区」になり、市民サービスの維持が困難となります。その上、この間の「法定協議会」ではコロナ禍を受けての議論はまったくなされておらず、新型コロナによる税収減や、支出増などは「財政シミュレーション」に反映されていません。「賛否」を決める上で必要な情報は市民に示されないままです。
貴重な財源(基金)は「大阪市廃止・分割」でなく、「コロナ対策」に使うときです。
さらに「特別区」になると決まれば、危惧される「秋冬のコロナ感染拡大」の中で、大阪市廃止・解体作業に府庁・市役所とその多数の職員が忙殺され、コロナ対策は二の次、三の次になります。
こんな時に住民投票をすれば、住民の命も暮らしも守れない大阪になってしまいます。
4.いま大阪で府民・市民を挙げて議論し、転換すべきことは
私たちは「ポスト・コロナ」の新しい大阪へ、5つの方向をよびかけます。
(1)保健・医療体制を抜本的に充実する
公立病院の病床削減、統廃合計画を中止する。急性期病床の削減計画を見直し、必要病床数を確保する。保健所は復活・増設、職員増をすすめる。感染症の医師をはじめ公衆衛生医師の確保をすすめる。独立行政法人化され運営費が削減された府立病院は直営に戻すなど、「医療崩壊」をもたらす「医療費削減路線」から「拡充」へと抜本的に切り替えましょう。
(2)「インバウンド頼み」から庶民のふところをあたためて成長する大阪に
インバウンド(外国人観光客)頼み、生産拠点の海外移転促進から、くらしの向上と内需を軸とした経済構造に切りかえる。「消費税5%への減税」、「安心の社会保障」、「人間らしい働き方」でふところをあたため、商都大阪を回復させる。中小零細企業の資金繰りやIТ化、販路拡大、技術などのイノベーション、後継者づくり支援を抜本的に強める。中小企業の社会保険料の使用者側負担への支援制度をつくり最低賃金を引上げる。カジノ誘致はきっぱり中止させましょう。
(3)子どもたちに20人程度の少人数学級を
教職員の増員と教室の整備で、20人程度の少人数学級にする。子どもに過度な競争を押しつけてきた「チャレンジテスト」は廃止を。大阪市の11学級以下の統廃合を強制的にすすめる「統廃合条例」は廃止する。公立学校の給食費を無償化しましょう。
(4)府も、市も、「公」の機能回復、役割、体制の強化を
コロナ危機のなかで「不採算部門である感染症対応のベッドを民間病院が赤字覚悟で準備できない。公立病院だからこそできる」「消防や警察はいざという時のためにある。医療や教育も同じ。公(おおやけ)がきちんと支えるべきもの」との指摘が沸き起こっています。この「公」の役割を果たす政治を大阪からつくっていきましょう。必要な部門での公務員を増やしましょう。「何でも民営化」から「公共」中心の府・市政に変えましょう。
(5)多様性を尊重し、一人も取り残されない大阪への歩みを
庶民の大阪。「格差と貧困」を打ち破り、文化を育み、ジェンダー平等をはじめ互いの人格と多様性を尊重しあい、連帯しあう街へ。「自己責任」の押しつけでなく、誰もが人間らしいくらしができる社会へと転換する歩みをすすめましょう。
以上
明るい民主大阪府政をつくる会/大阪市をよくする会のアピール(A4で3ページ版)
明るい民主大阪府政をつくる会/大阪市をよくする会のアピール(A4で2ページ版)