民意も道理もない、大阪市を〝解体〟する「大阪都」構想のごり押しに怒りをこめ、維新政治退場の運動をさらに強めよう
2015年1月14日
明るい民主大阪府政をつくる会 事務局長 前田 博史
大阪市をよくする会 事務局長 福井 朗
13日に開催された第21 回大阪府大阪市特別区設置協議会(以下「法定協」と略)において、10月に大阪府・大阪市の両議会で否決された「協定書案」とほぼ同じ内容のものが、「都構想には反対だが、住民投票には協力する」と昨年末に突然表明した公明党が賛成に回ったことにより賛成多数で可決されました。今後大阪府・市議会で公明党が態度を改めない限り、議決を経て5月17 日に「住民投票」が行われることが濃厚とされています。
今回の事態はいくつもの重大な問題をはらんでいます。
「大阪都」構想の協定書案は10月27日の大阪府・大阪市の両議会で否決され、「無効」の決議もあげられています。しかし、今回「法定協」に提案されたものは、ほぼ無修正のままの内容です。いったん自ら否決したものを復活させるなど、議会における議決の重さはなく、議会に対する信頼を大きく失うことにしかなりません。
また、今回公明党がとった態度は、これまで都構想に対し公明党がとってきた対応とも矛盾の極みであり、維新の会に屈したとの批判は免れません。
昨年10月の議会での否決は、それまでに府議会・市議会及び法定協で議論を積み重ねた結果です。議論を通じて、橋下・維新の会がバラ色に描く「大阪都」構想は、地下鉄の民営化計画や保育所・幼稚園の廃止・民営化、「市民交流センター」の10カ所の廃止など住民サービスの大幅な削減であり、それを財源にカジノ構想やリニアの実現などをすすめることにしかないことが明らかとなりました。さらに、「財政効果は7,000億円」(橋下市長)と吹聴していた内容も、逆に持ち出しが555億円になることが判明しました。
このような、大阪府民、市民にとって役に立たない「都構想」に対し、維新の会以外の会派が否決にまわってきたことは当然であり、再度否決されたものを修正もなく提案すること自体、暴挙としか言いようがありません。
今回、公明党がとった態度の急変の背景に、維新の会と官邸筋の密談により、創価学会本部も巻き込んだ〝東京でのシナリオづくり〟の大阪への押し付けであると各メディアが伝えています。公明党の大阪市議会議員でさえ「12月26日の新聞を見て知った」と発言する人もいたように、大阪における運動を無視した頭ごなしの「鶴の一声」で中央政界による大阪府・市政に対する介入・干渉に他なりません。
そこには、安倍政権にとって憲法改悪などの右傾化をすすめるうえで、より右翼的な維新の会の存在は貴重という政治的思惑があることは明らかです。同時に、橋下・維新の会が自らの〝野望〟実現のためには、中央政界にすり寄るという今回の態度は、大阪府民・市民の感覚とは大きくかけ離れたものであり、厳しい審判を下さなければなりません。
さらに、投票できるのは大阪市民に限定されています。大阪市が解体されることになれば、大阪市の持つ莫大な借金を、大阪府民全体にかぶせられることになります。そして、現在の大阪府庁がその借金をかかえながらカジノやリニアにひた走り、市町村支援事業も大幅に縮小されることが容易に予想できます。しかし、この重大な選択において大阪市民以外は「住民投票」の「蚊帳の外」におかれること自体大問題です。
「明るい会」「よくする会」は、大阪における地方自治と府民生活を守るために、あらゆる共同を追求し、運動をすすめていくことをあらためて表明するものです。
大阪市を解体する「大阪都」構想の設計図となる「協定書」が7月23日に維新の会のメンバーだけで決定されました。
大阪市をよくする会の見解を機関紙にて発行しましたのでお知らせします。
大阪府議会、大阪市会の民主主義と地方自治を死滅させる異常事態[PDF]
府民、市民置き去りで「大阪都」構想に暴走する橋下・維新政治にストップを
2014年7月11日
明るい民主大阪府政をつくる会 事務局長 前田 博史
大阪市をよくする会 事務局長 福井 朗
大阪府議会、大阪市会をめぐる報道では法定協、議会運営委員会、専決処分などの言葉が踊り、住民から見れば「よくわからない」との声が聞こえてきます。しかし、府議会、市会で今、起こっていることは橋下・維新の会の独裁的手法による議会制民主主義と地方自治の死滅につながる異常事態だと言えるものです。
具体的には、府議会の法定協委員のうち自民、民主、公明党委員を維新議員に強引に差し替え、7月3日の法定協は、知事・大阪市長、維新議員だけで開催するという暴挙が行なわれ、「維新による、維新のための、維新だけによる『協定書』づくり」が進められているからです。
「大阪都」構想をめぐっては、府議会、市会の代表らで構成する法定協議会で議論し、青写真とも言える「協定書」を作り、府議会、市会の決議を経て、住民投票にかけて支持されれば成立する「筋書き」になっています。
過去13回開かれた法定協議会の中で、問題点が続出し、橋下・維新の会が当初予定していた2015年4月スタートが困難となる事が明らかになりました。橋下市長は2月に強引に「出直し市長選挙」に打って出ましたが大きく支持を減らし「壮絶な“空振り”」(石原共同代表・当時)と言われたように、大義も道理もないことを示しました。本来は、この結果を謙虚に受け止め維新の会として「大阪都」構想や府政、市政運営を抜本的に見直すべきではないでしょうか。
ところが、来春のいっせい地方選挙で維新の形勢が不利と見るや、強引に「大阪都」構想の住民投票をぶつけるために「協定書」の作成を急ぎ、仮に議会が否決しても知事や市長の独断で住民投票を実施する(専決処分)ことをにおわせています。その第1歩が、7月3日の維新による強引な法定協開催でした。そこには、橋下市長の得意な「民意」なるものは一切ありません。
こうした維新による暴走に対して「大阪都」構想を支持する人も、支持しない人も含めて批判の声が起こりつつあります。府民の中にも、議会の中にも多様な意見があり、だからこそ議論をつくし合意を図るのが議会制民主主義であり、地方自治の原則ではないでしょうか。府議会、市議会では維新以外の会派から臨時議会の開催要求をも拒否するなど、かつての鹿児島県阿久根市(竹原市長時代)と同様の異常運営が行なわれています。この事態について「首長が自らの政治目的のために勝手な解釈をするのは本来許されない」(富野暉一郎・龍谷大学教授)と指摘されています。
橋下・維新の会が誕生して4年たちましたが、府民のくらしや商売はよくなったのでしょうか?橋下市長は「大阪都」構想で暴走する一方で、否決された地下鉄や幼稚園の廃止・民営化は執拗に議会に提案しています。大阪府と大阪市が本来の役割に立ち戻り、府民生活や防災問題、地域経済等の「住民福祉の向上」のための仕事に専念するよう、維新政治の暴走をストップさせる共同を心から呼びかけるものです。
以上