読売新聞は3月14日、次の報道を行いました。
自民が修正案提出へ
大阪市が2010年度の実施を目指している、市営地下鉄やバスに無料乗車できる高齢者向け「敬老優待乗車証」(敬老パス)の一部有料化など2件の歳出見直し策について、市議会最大会派の自民党は13日、「市民負担を伴い、理解を得られない」として、09年度当初予算案から準備経費計6億円を削除する修正案を開会中の市議会に提出する方針を固めた。公明、共産両党も同調する公算が大きく、10年度の有料化は極めて困難な情勢だ。
平松邦夫市長は、財政再建に向けて掲げる行財政改革策の中で、敬老パス有料化を目玉の一つに位置づけていたが、「ノー」が突きつけられる形。市によると、当初予算案が議会で修正された例はないという。
敬老パスは70歳以上の31万人に交付。市は昨年9月、所得に応じて最大年1万5000円の自己負担を求める有料化案を示したが、市議会が反対決議を可決。このため市は自己負担を一律3000円などに改めた修正案を公表し、新年度予算案に有料化に伴うシステム開発経費など4億2500万円を盛り込んでいた。
自民が反対を決めたもう一つの見直し策は、65歳以上の高齢者世帯に対する上下水道基本料免除措置を10年度から段階的に縮小する案。市は準備経費1億7500万円を予算計上したが、自民側は「無駄な支出の見直しが先決」としている。
受益と負担、議論を
「財政難の折、見直しは避けられない」。平松市長はそう訴え続けたが、最大会派の反発は根強かった。
敬老パスに関し、市が08年度に税金で肩代わりした高齢者の利用相当額は約82億円。20年度には約130億円に膨らむ見通しで、一部有料化により、市は10年度の削減効果額を約24億円と見込んでいた。
市が行った市民意見の公募では、有料化への異議・反対は98%。自民はこうした声に敏感に反応したと言え、市民サービスと財政再建を両立する難しさが改めて浮き彫りになった。
だが、今も「全額無料」のパス制度を維持する政令市は大阪市だけで将来の見直しは不可欠だ。市と議会には、受益と負担のバランスを踏まえた真摯な議論が求められる。