市民の要求と運動

公共交通、コミュバス

公共交通市民の会、地下鉄駅・ホームの安全調査を実施

 「公共交通市民の会」は11月21日、大阪メトロの駅改札・ホームの安全調査を行いました。
 駅職員の配置がギリギリ状態、「不測の事態に対応できない」実態が浮彫りになりました。

大阪メトロ(ホーム・駅)実態調査 2018・11・14

 今回の調査は、身体障がい者が多く利用する9つの駅を調査し、駅の実態の目視と駅員からの聞き取りを行いました。

対象駅
 あびこ 長居 四天王寺前夕陽ヶ丘 谷町四丁目 天満橋
 弁天町 肥後橋 長堀橋 だいどう豊里

駅職員の配置について

 これ以上減らせない最低限の配置数(今里筋線・だいどう豊里駅は最低限も割り込んでいた)

 駅職員の配置基準は「改札口1人+駅長室2人

 ラッシュ時にホームに駅員を配置すると駅長室は単数。

 2路線が交差しホームが複数ある駅は一つとカウント。

 駅が一定の範囲でブロック化され、駅員の休暇やイベントの際に応援している。

  「災害や不測の事態」に対応できない!
 ● 北部地震の発生時間が7時58分だったから・・・

改札口の無人化について

 基本的に時間帯も含め無人はないとの回答だが・・・。

 各改札口に単数配置のため、他の業務対応や休憩(券売機のトラブルや視覚障がい者・車いす利用者の介助誘導等)で無人になる。

 無人化したときのため改札口にブザーの設置。(移動できるブザーを置く駅もある(谷町線) 

 ブザーは視覚障がい者には設置位置がわからない!

 「だいどう豊里駅」では駅員が2人のため、交代での昼食休憩時(13時~14時30分)は改札口が無人化、インターホンにカメラが備え付けられ非ICチケット所持の乗客に 対応、改札口の開閉を駅長室から遠隔操作している。

防災訓練・対応について

 毎年必ず火災・防水などの訓練を実施している。

 防水訓練は、止水扉の開閉訓練などを営業終了後に実施。止水パネルの設置は1カ所に10数分かかり2ヶ所でも30分~40分程度かかるとのこと。職員からは「もっと操作が簡単なものに改良が必要」との声。

 トンネル内の止水鉄扉の開閉訓練もしている。

 今里筋線(8号)では、2人配置のため災害対応で必要な最低3人を割り込んでいる。駅員に危機感あり。

 

車いすの乗降介助について

 乗る駅から降りる駅に連絡を取る。連絡がついてからの乗車になるため乗車を待ってもらうことがある。それでトラブルにもなる。(降車駅の駅長室の状態?

 一駅で2分の時間的余裕をとるルールがある。

 降車駅での対応について、乗車駅から電話を受けタイマーをセットし駅長室から出る時間を計っていた。(肥後橋駅=地下道内を自転車で移動)

 

シティバスとの連携について

「メトロ(鉄道)とバスは別会社」という姿勢があからさまになっている。

あびこ駅ではバスの時刻表が無くなり、 長居駅の改札口にあったバス時刻の電光板が廃止(経費節減)された。
 (バス停の次のバスの到着時間表示も撤去)

「改札口でバスの運行案内はしないことにした」との回答があり、その原因が「バス会社から運行時間の変更を知らせてこないから」と説明している。

 

視覚障害者の声

 「ホームから何回落ちた?」 …「僕は〇回」「アタシは〇と〇で落ちた」など、複数回転落した経験者が多い。慣れた駅で油断して転落することもある。

 転落数のデータは、死亡するか怪我をするケースだけで、駅員が対応しない場合もカウントされない。

 転落防止の目的で、ホームのベンチが線路と並行に設置されるようになったが、視覚障害者にとっては立ち上がった時、方向がわからなくなり危険!

 可動柵がある駅とない駅がある方が怖い。

 安心・安全は、ホームにも改札にも人が必要!

公共交通市民の会 第15回市民のつどい(1月25日)

これでは守れない! 安心・安全・サービス
-市営交通民営化を現場から検証する-

1月26日(土)午後1時30分~4時
大阪民医連会議室(堺筋本町 創建本町ビル2F)

 2018年4月に市営地下鉄・バスが民営化されて10ヶ月が経ちます。

 昨年7月には大阪メトログループが夢洲に数百億円を投資して商業ビルを建てるなどの「中期経営計画(2018~2024年)」を発表しました。
(※大阪メトロが12月20日に発表した「夢洲開発」では、数百億円が1000億円にはねあがっています)

 一方で、職員削減が進んでいます。シティバスの運転手不足も深刻です。市民・利用者の安心・安全・サービスはどのような状況でしょうか。

 改札口に駅員が一人配置の場合、車イスや視力障害者の方、急病人発生時、その他のトラブルへの対応をすると、改札口がしばしば無人となっています。これで震災や浸水など不測の事態に、対応できるのでしょうか。

 つどいでは、可動柵や駅調査、防災対策のとりくみを現場から検証して、公共交通の改善を求めていきます。

≪参加費無料≫
■主催:大阪市の公共交通を発展させる市民の会 ☎06-6354-7207
■共催:つくろう!市営のコミュニティバス大阪市民ネット

[PDF] 26日の交通のつどいの案内

大阪市営交通の会が声明を発表しました

市民にメリットなし!大阪市営地下鉄・市バスの廃止条例可決にあたって(声明)

2017年3月28日

 交通権の確立・大阪市営交通を守り発展させる会

 

1.市営地下鉄・市バスの「廃止条例」が、本日(3月28日)の大阪市会本会議で維新・自民・公明の賛成多数によって可決されました。市民にとってなんらメリットのない「廃止条例」の可決に強い怒りをもって抗議します。

 

 大阪市営交通は1903年に開業し1世紀以上の歴史があります。地下鉄は1933年の御堂筋線の開通以来80年以上の歴史を重ね、市民の税金と乗車料金によって築きあげられてきた市民の貴重な共有財産です。そして、今や1日1億円以上の黒字を生み出す超優良な公営企業に成長しています。その黒字を活かして市営バスへの支援で市民の足と生活を守ること、転落防止柵の設置や津波・防災対策の強化など安全対策を充実するなど、いよいよ大阪市民や利用者に大きな貢献をすることが可能になっていたのです。

 

2.大阪市は地下鉄民営化のメリットだとして「納税・株の配当で年間約100億円」も貢献することができると宣伝してきましたが、今回の市会議論の中で地方交付税の減額によって40億円程度でしかないことが明らかになりました。しかも株の配当については、自民党の要求に対して吉村市長が自分の任期中は「大阪市100%保有」を約束しましたが、昨年12月に改訂された「民営化プラン」には「将来、株式上場が可能な企業体を目指」すという記述が残り、維新の会が「完全民営化」を大方針としているなど市長の任期後にその約束が担保される保証はどこにもありません。

 

 また、運賃値下げやトイレの改修などはすでに公営で実現しており民営化後に「目玉となるようなサービス改善はない」と交通局自身が認めています。

 

 さらに、昨日の委員会での採決を受けて吉村市長が「どこの私鉄にも負けないような民間鉄道会社になる」と発言していますが、その意図は「ホテル・不動産事業」などを展開し、儲けを増やすことをめざすことであり、市バスの充実や安全対策の強化など市民サービスを充実することではありません。

 

3.地下鉄・市バスの民営化によって、職員の退職金を1,000億円以上も支払うことになり、民営化後の運転資金が毎年70億円程度しか見込めないことが「民営化プラン」で明らかにされています。これでは、私たちがこの間強く求めてきた①地下鉄全駅にホームからの転落防止の可動柵を早急に設置すること。②地震・浸水など利用者の安全確保のため、防災対策を早急に実施すること。③路線バスの運行は少なくとも15分に1本とし、住民の意見に耳を傾け、バス路線の復活・新設などの改善を行うこと。④地域の生活交通を確保するため、コミュニティバス路線の復活、再編、新設を行うこと。などの切実な市民の要求の実現が極めて困難にならざるを得ません。市民にとって民営化のメリットはありません。

 

4.私たちは、昨年9月から「地下鉄と市バスの一体運営で便利で安心・安全な市営交通の発展を求める署名」をとりくみ3月24日までに5万人分を超える署名を大阪市会に提出しました。また、本年1月末からは「市営地下鉄と市バスの廃止条例を否決し、早急な安心・安全対策をもとめる署名」にとりくみ、約2か月という短期間に19,881人分を提出してきました。合計7万人の方々から頂いた署名に込められた思いは大変強いものがあります。ご協力いただいたみなさんに感謝を申し上げるとともに、今後も署名に込められた熱い要求を実現するために奮闘する決意を表明いたします。

 

5.要求署名に込められた課題について以下の方向でとりくみを強めます。

 

① 国民には、「誰でも、どこへでも、交通機関を使って、自由に移動ができる権利」=交通権があり、公共交通には外出・移動の権利(交通権)を保障する責任があります。ところが、現在の市バス事業の現状は市民の移動の権利を侵害し、足を奪うひどい状態になっています。大阪市をよくする会が昨年6月からとりくんだ市バスアンケートには1,400通を超えるハガキが返信され、「医者に行けない」「買い物に行けない」「区役所に行けない」など深刻な声が書き込まれていました。この現状を「10年間保障」するという市バス民営化方針では市民の足は守れません。コミュニティバスの実現と路線バスの充実を求め住民参加の運動を強めます。

 

② 転落防止柵の設置は、全国で発生する悲しい死亡事故を受けて国土交通省が前向きにとりくんでいます。国土交通省の方針を踏まえ、大阪市での二駅(堺筋本町、東梅田)への設置という極めて不十分な方針の改善を要求します。

 

③ 地震・津波・浸水対策の現状は、私たちの独自の調査によっても大変深刻な対策の遅れが明らかになっています。問題を告発し対策を求めます。

 

④ 昨年12月に改訂された「民営化プラン」に示された(1)総合的な交通政策を担当する新たな部局を市に新設、(2)現交通局が保有する関西電力株式の時価(約150億円)相当額の現金を市に残し、交通政策に充てるために創設する基金の原資とする、(3)今里筋線延伸区間でBRT(バス高速輸送システム)社会実験を平成32年度までに始め数年間行う、などについて、今後の動きについて監視を強めます。

 

6.今後、大阪市民が直面する問題は、維新市政による「大阪都構想」への再挑戦であり「特別区設置法定協議会」設置議案が5月に継続審議となりました。また、にわか作りの「総合区・合区案」が発表され、市民にとって難解な「制度論」が持ち込まれています。

 

 さらに、カジノ・IRの誘致とそれを推進するための万博誘致構想が急浮上しています。橋下前市長は、地下鉄の「完全民営化」によって株を売却し、他のインフラ整備に投じる資金を生み出すことを「錬金術」だと言いましたが、カジノ誘致がその目的の事業であることは明らかです。地下鉄「民営化」と「大阪都構想」は、巨大開発の資金作りの入口であり、その資金の出口にカジノ誘致関連の巨大事業が控えているのです。
 吉村市長の登場によって、強引だった橋下前市長のやり方に変化が生じ、地下鉄「民営化」議論に段階戦術が用いられてきましたが、民営化のねらいと本質は何も変わっていません。

 

 大阪市解体を許さないたたかいと結んで、市民の足と安全・快適な交通体系をつくりあげるとりくみは引き続き重要です。

 

[PDF] 大阪市営地下鉄・市バスの廃止条例可決にあたって(声明)(声明)