読売新聞は9月2日、次の報道を行いました。
大阪市の第3セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)の会社更生手続きで、WTC社が、3月の破綻(はたん)以降、金融機関からの490億円の借金を返済していないため、遅延金が年間69億円にのぼることがわかった。借金は市が肩代わりするが、同社が所有するWTCビルが売れても、売却金が遅延金に充てられてしまうことになり、市は公金投入を抑えるため、遅延金支払いの事実上免除を求め、来週にも大阪地裁に申し立てる。
更生管財人の中井康之弁護士は、WTCビルの不動産評価額を83億6100万円と鑑定。ビルの売却金を借金返済に充てる。2004年に成立した特定調停では、金融機関が同社に対する債権の一部を放棄する代わりに、市が同社の残りの借金について肩代わりすることを約束。市は借金総額とビル売却額との差額を支払うことになる。
しかし、民法は、当事者からの意思表示がない限り、遅延金の優先返済を規定している。市が何らかの対策を取らなければ、ビルを鑑定額で売却できても、遅延金の支払いに回り、490億円のほぼ全額を負担することになる。市幹部は「公金を少しでも圧縮したい」とする。
WTCビルについては、大阪府の橋下徹知事が府庁舎移転の再挑戦に向け、85億1800万円の購入費を盛り込んだ補正予算案を9月府議会に提案する方針を示している。