大阪市をよくする会・構成団体の大阪自治労連・大阪市役所労働組と大阪市労働組合総連合が3月14日、組合事務所立ち退き問題で大阪市を提訴しました。
サンケイ新聞の報道記事をご紹介し、両組合の見解を掲載します。
組合事務所立ち退きは「違法」 大阪市労組連、市を提訴
大阪市の橋下徹市長が市職員の労働組合に市庁舎からの事務所退去を求めた問題で、全労連系の大阪市労働組合総連合(市労組連、組合員約3千人)と傘下の大阪市役所労働組合(市労組)は14日、市側が来年度の事務所使用許可申請を認めなかったのは一方的で違法として、市に対して処分の取り消しや計400万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。
訴状によると、市労組連などは平成18年7月から市役所内の1室(44平方メートル)を使用していたが、市は橋下市長の方針に基づき、1月末に来年度からの使用を認めないことを通知し、2月20日付で組合側の使用許可申請を不許可とした。
組合側は、憲法で保障される労働者の団結権の侵害や不当労働行為に当たると主張。さらに「橋下市長の異常な労組敵視政策の一環として、労組弱体化を目的に行われた処分で、それ自体が違法だ」と訴えている。
これに対し、橋下市長は「(組合活動の)これまでの状況、事実関係が全部表に出ることを狙ってやっている。(訴訟を通じて)公務員の組合がどういうものなのかを市民、国民に知ってもらいたい」と述べた。
組合事務所の退去問題をめぐっては、連合系の大阪市労働組合連合会(市労連、組合員数約2万8千人)も近く提訴する方針を決めている。
憲法に保障された働く者の団結権を無視する一方的な退去通知の撤回を
労働組合への事務室の退去通知、行政財産不許可通知に対するたたかいについて(声明)
大阪市労働組合総連合・大阪市役所労働組合
橋下市長は、昨年12月26日の市議会で交通局内での「職務専念義務違反」問題などが提起されたことに関連して「庁舎内での組合の政治活動は認めない。早ければ来年3月末までに庁舎内にある労組事務所について退去を求める」と発言しました。また、1月4日に大阪市労働組合連合会(市労連)委員長が市長に謝罪したことが大きく報道される中で、橋下市長による労働組合への敵視・排除の姿勢は一層強行なものとなり、憲法違反・思想調査の「職員アンケート」が「業務命令」で実施されるという暴挙に続き、本庁舎から労働組合事務所の退去が強行されようとしています。
大阪市役所労働組合(略称は市労組)は、1990年7月22日に結成し全労連に加盟した労働組合です。また、大阪市労働組合総連合(略称は市労組連)は、1991年1月に全労連加盟の5つの労働組合によって結成された労働組合の連合体です。従って市労連とは別の労働組合です。
私たちは橋下市長の発言がマスコミで報道される中、総務局に何度も問い質しを行ってきましたが、「当局は検討していない」との回答が繰り返されました。しかし、突然1月30日に総務局長名で「組織改編に伴う新たな行政事務スペースが必要」として4月以降は貸与しないとの「退去通知」が出されました。
市労組連・市労組は、「退去通知」に記載された理由が橋下市長の言う「労働組合の庁舎内での政治活動」と異なること、「確認書」(2009年3月)により2011年度以降も貸与の合意があること、さらに、これまで労使協議によって確認されていたものが、一方的な「通知」のみでは済まされないことを主張し市側に再検討するよう強く求めてきました。
橋下市長が言うように「労働組合の政治活動」が退去の理由であるならば労働組合法に抵触する明らかな「不当介入」であります。その批判を免れるために「行政事務スペース」との理由付けを行ったのであれば、許しがたいと態度だと言わざるを得ません。
私たちは、2月17日に「平成24年度の使用許可申請」を申請しました。しかし、市側はこの申請に対しても誠意ある説明を一切行わず2月20日付で総務局長名での再度の「退去通知」と橋下市長名での「不許可通知」を出してきました。
私たちの組合事務所が本庁舎で貸与されたのは6年前の2006年7月からです。これはいわゆる「大阪市問題」によってそれまでの市当局と市労連との労使癒着が否定され、労使関係が一部改善される中で、市側の要請と労使協議のもとで実現したものです。それまでは私たちの組合事務所は大阪市の関連施設で貸与されていました。
このような経過から「退去理由」が正当であれば、本庁舎での貸与にこだわらないことを市側に伝え、2月28日には ①「本庁舎の狭隘」についての詳細な説明を行うこと ②「本庁舎が狭隘」ならば他の施設(市関連)での代替室を検討すること、を申し入れてきました。しかし、市側は「管理運営事項であり交渉は出来ないが、説明責任は果たす」と回答したものの、その後も「本庁舎は狭隘」「本庁舎外の市の施設にも貸与スペースがない」との回答に終始しました。
私たちは、市側に繰り返し誠意ある労使協議を要請し続けてきましたが、退去期限の3月末が間近となるなか、現状では協議による解決が困難との判断から本日の訴訟を決意するに至りました。
市労組連・市労組は、住民福祉の増進をめざす地方自治の発展と子どもたちに豊かな教育環境が実現することをめざし、教・職員が働きがいをもって職務に専念できる労働環境の確保をめざして微力ながらとりくんできました。また、「貧困と格差」が広がるなか、働くルールの確立や社会保障の充実、平和や環境問題など市民・職員の生活の向上に結びつく政治的な課題にもとりくんできました。これは、憲法に保障された正当な活動です。その活動の基盤となる組合事務所が貸与されることも法に基づく正当な権利であり、法を守る手本となる公の機関が法を逸脱することを私たちは認めることはできません。