4月5日、橋下市長が発足させた「改革プロジェクトチーム](PT)が、「大阪市の施策・事業の見直し試案」を発表しました。
2012年度から3年間で、住民サービスを中心に104の事業を削減・廃止し、総額548億円をカットする驚くべきものです。
「大阪市をよくする会」と「明るい民主大阪府政をつくる会」は共同で、くらし破壊、大阪市破壊の「市政改革プラン試案」を撤回させ、市民の暮らしを守る大阪市の施策を前進させるための大きな共同を呼びかける声明を発表しました。
また、大阪市をよくする会は、「改革試案」の内容を市民に知らせるビラを作成しました。
改革試案ビラ201204.pdf
くらし破壊、大阪市破壊の「市政改革プラン試案」を撤回させ、
市民の暮らしを守る大阪市の施策を前進させるための大きな共同をよびかけます
2012年4月12日
明るい民主大阪府政をつくる会
大阪市をよくする会
(1)
4月5日、橋下大阪市長が発足させた「改革プロジェクトチーム」(PT)が、「大阪市の施策・事業の見直し試案」を発表しました。2012年度から3年間で、住民サービスを中心に104もの事業を削減・廃止し、総額548億円をカットする。そして大阪市をバラバラにする「大阪都」への移行を前提にして、現在の24区ごとにある「区民ホール」や「区民プール」を8~9に減らすなどという驚くべきものです。
橋下市長は、この「試案」について、5月上旬に「素案」を示してパブリックコメントを実施し、6月に「案」としてまとめ、7月の市議会でこれにもとづく補正(本格)予算を策定するという強行スケジュールを示しています。
かたや橋下市長と松井知事は、「府市統合本部」を舞台に、「大阪都」づくりにひた走り、不要不急の「なにわ筋線」建設や「関空リニア」などの新たな巨大開発やカジノ誘致を企んでいます。「府市一体」で加えられようとしている、くらし破壊、大阪市破壊の総攻撃にたいして、「明るい民主大阪府政をつくる会」「大阪市をよくする会」はすべての構成団体・地域が立ち上がり、「試案」の危険な内容を急いで市民・府民に知らせ、幅広い市民のみなさんとともに、くらし破壊、大阪市破壊の「試案」の撤回と市民生活と大阪市の施策を守り、前進させるための大きな共同をつくりだすことをよびかけるものです。
(2)
今回の「試案」の重大な特徴の第1は、これが高齢者にも、「現役世代」にも、若者にも、あらゆる層のくらし破壊の総攻撃となっていることです。
「試案」では、70歳以上の市民が市営地下鉄・バスを無料で利用できる「敬老パス」は「半額負担」とされ、高齢世帯への水道代減免廃止、一人暮らしの高齢者への配食サービス補助廃止、国民健康保険料の引き上げなど、高齢者に対する血も涙もない施策切り捨てメニューが並びます。
加えて新婚世帯への家賃補助の停止、保育料の引き上げ、学童保育補助金の廃止など、「現役世代」、若い層にも犠牲がおしつけられます。
大阪フィルハーモニー協会と文楽協会への助成金カットなど、文化芸術分野の施策切り捨てにいたるまで、攻撃の矛先はあらゆる層に及びます。
その理由として、橋下市長は「大阪市民は非常にぜいたくな住民サービスを受けている」などといいます。切実な市民各層の願いにこたえた施策を「ぜいたく」などというのは、市民生活の現実に何ら目を向けず、また「住民福祉を向上させる」という自治体の根本的役割を平然と投げ捨てるものにほかなりません。橋下市長が主張する「地方分権」とも大きく矛盾するものです。
第2に、「試案」では、市内24区それぞれあるプール(24ヵ所)も、区民センター(34ヵ所)も9カ所に削減する。市内5ヵ所にある「男女共同参画センター」(クレオ大阪)は全廃するなどというとんでもない計画を盛り込んでいます。「赤バスなど地域密着型のコミュニティバス運営費補助カット」も盛り込まれており、まさに大阪市をバラバラに解体する計画の始動です。
大阪市の24区は「大阪都」になれば、9つの「特別自治区」になるから、それ以上はいらないというものですが、いったいそんな「民意」や「合意」がどこにあるというのでしょうか。すでに地域振興会をはじめ、政治的立場の違いをこえて、大きな怒りと批判がわきおこっています。
第3に、この「試案」は、橋下・「維新の会」のウソとペテンを誰の目にもあざやかにしています。
昨秋のダブル選挙で、橋下・「維新の会」は、なんといって選挙をすすめたでしょう。「だまされないで下さい!!」、大阪維新の会は、「大阪市をバラバラにはしません」「24区、24色の鮮やかな大阪市に変えます!」「大阪市役所の大改革で税金の無駄遣いをストップし、住民サービスを拡充します」「敬老パス制度を維持します」(知事選・政治活動用ビラ)――この「公約」が、今度の「試案」のどこにあるというのでしょう。
「改革」の名で市民サービスを「ぜいたく」といってバッサリ切り捨てる。「24区色とりどり」どころか、区民ホールも、プールも、「24区に必要ない」という。さらに「敬老パス制度」は「維持」(国語辞典によれば「物事の状態をそのまま保ちつづけること」です)といいながら、半額負担を強いる。これでは民主党の「消費税増税はしません」という公約の裏切りと何も変わりません。
しかも、橋下市長は鳴り物入りで「区長公募」をすすめており、その24区長に権限と財源を与えて住民サービスを競わせるなどとうたっているのです。「試案」が実行されるなら、そんな余地などありません。「競わせる」のは「ぜいたくな住民サービス」の切り捨て競争となるのは明らかです。
(3)
このような「試案」を断じて許してはなりません。
両会の構成団体・地域連絡会が、このアピールをもとに、急いで学習・討議をすすめ、それぞれの要求をもとに、「試案」撤回を求めるとりくみにたちあがりましょう。
今後発行される宣伝物なども活用し、「試案」の驚くべき中身を、一気に市民各層にとどけ、それぞれの立場からの反撃をすすめましょう。そのなかでとくに重視すべきは、新しい層との連携・共同の強化です。「申し入れ文書」もつくり、「試案」にたいする意見を募り、懇談や共同の集会、署名活動などありとあらゆる活動にのりだしましょう。
このたたかいのなかで、橋下・「維新の会」の狙い、「大阪都」構想のウソとごまかし、彼らの正体を徹底してうきぼりにしていきましょう。「橋下支持層」のみなさんにも、その要求と期待に、この「試案」はこたえるものでないことをていねいに対話していきましょう。
そして、このとりくみと一体に、大阪市財政の現状をつくりだした責任、要因はどこにあるのか。WTCや阿倍野再開発など巨大開発の大失敗、国の「三位一体改革」などによる地方財政の締め付け、何よりも消費税増税や派遣労働による市民の生活苦、景気破壊による税収難こそ大問題ではないのか。ここにメスを入れ、転換してこそ市民のくらしを守り、財政危機打開を解決できるという抜本的対案を提起していきましょう。
この「試案」とのたたかいを、「全国進出」をも企む橋下・「維新の会」の野望を打ち破る大きな契機にしていこうではありませんか。
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