大阪城天守閣、大阪市立美術館、大阪歴史博物館の元館長、天王寺動物園の元園長らが、「大阪市の廃止・解体」に反対するアピールを発表
大阪市の廃止・解体(いわゆる「大阪都」構想)の賛否を問う5月17日の住民投票にあたって、大阪城天守閣、大阪市立美術館、大阪歴史博物館の元館長、天王寺動物園の元園長らが5月1日、「大阪市の廃止・解体に反対するアピール」を発表しました。このアピールは、大阪市が廃止・解体されれば、大阪市の重要な文化施設が大阪府に移管・没収されることに危惧を抱く元館長らが連名で発表するもので、大阪市民の財産である文化施設を守り、未来に継承していくために、大阪市民はもとより、大阪の文化を愛するすべての人に、「大阪市の廃止・解体に反対」の声を上げて頂くことを呼びかけています。
アピールには、石部正志氏(関西文化財保存協議会代表、元宇都宮大学教授、考古学者として難波宮跡発掘調査や大阪文化財研究所にも関わる)、中川哲男氏(元天王寺動物園園長・獣医師)、吉村元雄氏(元大阪市立美術館館長、関西学院大学名誉教授)、脇田修氏(元大阪歴史博物館館長、大阪大学名誉教授)、渡辺武氏(元大阪城天守閣館長)がよびかけ人となっております。今後、このアピールを、大阪市民はもとより、大阪の文化施設に関わるあらゆる人々に伝えて、「大阪市の廃止・解体」に反対する世論を広げていくことにしています。
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大阪市の歴史と文化のシンボル、大阪市民の財産、大阪城天守閣、美術館、博物館、動物園など文化施設を府に移管・没収する「大阪市の廃止・解体」に反対するアピール
大阪市の廃止・解体(いわゆる「大阪都」構想)の賛否を問う住民投票が5月17日に実施されます。もし賛成票が上回り、大阪市がなくなれば、大阪城天守閣、大阪市立美術館、大阪歴史博物館、大阪文化財研究所、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪市立科学館、大阪市立自然史博物館、天王寺動物園など大阪市の重要な文化施設が、大阪府に移管・没収されます。移管・没収された後は、「二重行政解消」の名のもとに、廃止、統合、さらには売却されることさえ危惧されます。
126年の歴史を持つ大阪市をなくし、大阪市の歴史、文化を象徴する市民の大切な財産が奪われることを見過ごすわけにはいきません。
大阪市は古代から先進的で優れた文化を創造し、育み、発信してきた歴史があります。近世は「天下の台所」として栄え、経済的な繁栄をもとに庶民による上方文化を形成してきました。大阪の庶民は、進取と自治の気風をもち、自力で文化施設もつくり、充実させてきました。現在の大阪城天守閣は大阪市民の寄付で復興し、「権力の城」ではなく、「市民の城」として存在しています。市立美術館や市立博物館の所蔵品の中には、大阪市民と企業人が大阪市に寄贈したものが多く含まれています。天王寺動物園は今年で開園100周年を迎え、全国でも有数の規模をもつ大阪市の動物園として、多くの市民に親しまれています。
私たちは、大阪市民の財産である文化施設を守り、未来に継承していくために、大阪の文化を愛するすべての人に、「大阪市の廃止・解体に反対」の声を上げてくださることをよびかけます。
2015年5月1日
よびかけ人 (50音順)
石部正志 (関西文化財保存協議会代表)
中川哲男 (元天王寺動物園園長)
吉村元雄 (元大阪市立美術館館長)
脇田 修 (元大阪歴史博物館館長)
渡辺 武 (元大阪城天守閣館長)
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