大阪市をよくする会

平松市長の「経費削減案」の撤回を

 

敬老パス有料化など市民サービス切捨てを許さず、平松市長の「経費削減素案」の撤回を求めます

2008年9月8日   大阪市をよくする会事務局長 喜多 裕明

  
  平松市長は、9月4日、「経費削減の取組について(素案)」を発表しました。 
今回の経費削減素案は、関前市長の「市政改革マニフェスト」を平松市長が引き継いだものです。経費削減額は2009・2010年度の2年間で688億円、5年間では2442億円に上ります。職員1300人減と職員給与5%カットに加え、市民に対しては2年間で98億円のサービス切捨てや負担増を押し付け、市民と職員に大きな痛みを強いるものとなっています。
 高齢者に最も喜ばれている「敬老優待パス」は2010年度から年間利用額を6万円までに制限し、交付時に所得に応じて年3千円から1万5千円の負担を求めています。高齢者世帯の上下水道料金の基本料減免も、介護保険の要介護度4・5の高齢者がいる世帯に限定します。
 年1万円の難病患者への見舞金は廃止、高校生奨学費は4割カット、小・中学校の学校維持運営費は2割カット、老人ホームや屋外プールなどの廃止も含まれています。
 府の「『大阪維新』プログラム(案)」に追随するかのような、こんな市民サービスの切捨ては断じて許せません。
 平松市長は選挙前には、「高齢者、障害者の福祉対策も充実し、大阪市の福祉セーフティーネットをさらに拡充する必要があります」「子ども施策、子育て支援策を拡充します」(「平松邦夫の大阪市政マニフェスト」)と公約し、当選直後には、「関マニフェストは当然見直すことになる」(「読売」夕刊07年11月19日付)と語っていたではありませんか。
 大阪市の財政危機の原因は、阿倍野再開発をはじめとする大規模開発の失敗と芦原病院事件などの不公正乱脈な同和行政によるものであり、市民や一般職員には何の責任もありません。同時に、ムダな大規模開発を削り、同和行政を終結させると共に、公債償還基金を一時的に活用すれば、無理な経費削減をせずに財政を建て直すことは可能です。
 大阪市はこの経費削減素案へのパブリック・コメントを10月10日まで実施しています。「財政危機の責任を市民や一般職員に押し付けるな」「経費削減素案は撤回せよ」の声を大阪市に届けましょう。 すでに、大阪市をよくする会事務所にも、市民からの抗議、憤りの声が寄せられています。
 大阪市をよくする会は、大阪市会開会日の9月18日夜6時30分から、中之島で市民集会とデモをおこないます。市民のみなさんの参加を呼びかけるものです。

 

大阪市、敬老パスの一部有料化や学校維持費の削減案
 2008年9月5日

「朝日新聞」2008年9月5日付

 5兆円超の負債を抱える大阪市は4日、職員給料の一律5%カットや事業見直しなどで、09~10年度に総額688億円の歳出を削減する財政再建案を発表した。市の試算では17年度までに累積赤字が1200億円に膨らむ見通しだが、人件費削減を17年度まで続けることで収支改善を図るとしている。 平松邦夫市長が就任してから、人件費カットや経費削減の具体策をまとめたのは初めて。削減案では、2年間で職員の基本給5%カットや管理職手当10%カットなど人件費で210億円削減、事業見直しで201億円削減。特別会計繰出金の49億円増額が見込まれるが、公共事業抑制などで326億円を削減する。  事業の見直しでは、(1)敬老優待パスの一部有料化(27億2千万円)(2)上下水道料金の高齢者世帯への減免見直し(31億4500万円)(3)学校維持運営費の削減(24億4200万円)など市民サービスにも切り込んだ。 市は関淳一・前市長の市政改革マニフェストに基づき、06年度から5年間で2250億円の削減に取り組んできた。うち経常経費で900億円の削減を目指したが、07年度末現在の達成率は48%(429億円)。目標を達成しても、11年度以降財政収支状況が悪化すれば、14年度に早期健全化団体に転落する恐れもあるため、より踏み込んだ歳出削減策を検討してきた。 市によると、この案通りに歳出削減が進めば、5年間で経常経費は840億円(目標達成率93%)、総額2442億円削減できるとしている。  平松市長は記者会見で「市民や職員には痛みを求めることになるが、大阪市が置かれている厳しい財政状況を理解してほしい」と語った。市労働組合連合会(木下平和委員長)は「現行施策の切り下げと職員に負担を強いるだけの『行財政改革』と言わざるを得ない」と反発している。(斎藤利江子)