民主法律協会より2023年5月2日に出された緊急声明を紹介します。
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緊急声明のPDF版⇒大阪市議会の議員定数削減に反対する緊急声明
民主法律協会:大阪市議会の議員定数削減に反対する緊急声明
1 報道によれば、大阪維新の会は、大阪市議会の議員定数を現在の81から10前後減らす条例改正案を提出する方針を固めたとのことである。
しかし、議員定数の削減は、少数者を含めた多様な住民の意見を切り捨てるとともに、市長をはじめとする行政機関に対するチェックなどの市議会の役割を形骸化させ、住民自治を後退させるものである。
2 議会は住民の代表であり、多様な住民の意見を反映させ、住民の要求を実現するという役割を有する。議員定数が削減されれば、それだけ多様な民意の反映が困難となる。報道によれば、定数が3~6の選挙区の定数を減らすことが検討されているとのことであり、議員定数の削減により、多数の意見のみが反映され、少数者を含め多様な住民の意見が切り捨てられることになる。
3 地方自治体における首長と議会の二元代表制においては、議会は首長をはじめとする行政機関をチェックするという役割を有する。大阪市長らが強引に進めたカジノ誘致計画についても、市議会での質疑によりその問題点がより明らかとなった。議員定数を削減することは、このような議会の有する首長をはじめとする行政機関に対するチェック機能をも形骸化させるものであり、ひいては行政に対する住民の監視が損なわれることになる。
さらに、報道によれば、横山英幸大阪市長が定数削減を「できるだけに速やかに進めてもらいたい」と述べたとのことであるが、議会にチェックされる対象である首長自身が議会の定数削減、それによる議会のチェック機能の形骸化を主導することはあってはならない。
4 そもそも、大阪市は、神戸市、京都市、堺市などの他の政令都市に比較して、人口あたりの議員数が今でも少ない。大阪市議会が十分にその役割を発揮するためには、議員定数を増やす必要はあっても、これをさらに削減する必要性などない。
5 議員定数の削減は、民意を切り捨て、議会から行政機関に対するチェック機能を形骸化させるものであり、住民自治を後退させる。
民主法律協会は、大阪市議会の議員定数の削減に断固として反対するとともに、これを阻止すべく奮闘することを決意する。
2023年5月2日
民 主 法 律 協 会
会長 豊川 義明