研究者ら偉業たたえる
ノーベル物理学賞に輝いた南部陽一郎氏(87)は、大阪市立大学の名誉教授。同大学創設時の1949年に理工学部助教授(現在の准教授)として就任し、翌年には教授となり創設期の同学部の礎を築いた。同大学関係者や講義を受けた専門家らは「たいへんな偉業だ」とたたえた。
「やっと受賞されたかという思い。いつ受賞してもおかしくなかった」。素粒子物理学分野の伝統を引き継ぐ、同大学大学院理学研究科の奥沢徹教授(61)(高エネルギー物理学)は喜ぶ。「偉大な先達からの学問の流れを途切らせないよう、私も新たな発見を目指したい」と話す。
シカゴ大で1979~81年、南部氏から素粒子理論を学んだ大阪大学大学院理学研究科の細谷裕教授(56)は「常に、物理の本質にどう迫ろうか考えている人だった。研究成果や資料にも厳密で、必ず原資料を探される。その研究姿勢は私の中に生きており『心の中の恩師』と思っています」と語る。
大阪大学理学部の尾田欣也助教(36)も「今年6月ごろ、阪大で先生と素粒子論について議論した。淡々と質問に答えられる方で、今の日本人の研究者の中では最も偉大な人だと尊敬している。この分野の研究が更に活発になることを期待する」と喜んだ。
(2008年10月8日 読売新聞)