朝日新聞は4月1日、次の報道を行いました。
大阪市の平松邦夫市長は31日、二次破綻(はたん)した第三セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)が5年前に特定調停を結んだ経緯に関する調査報告書を発表した。平松市長は「特定調停はやむを得ない判断だった。当時の担当者の責任を問うのは難しい」と語り、三セク破綻の責任追及は困難との見解を示した。総務省によると、自治体が三セク破綻の経緯を報告書で公表するのは極めて異例という。
WTCは95年開業。テナント入居率が上がらず、金融機関に債権放棄してもらうかわりに市が損失補償を負う特定調停を04年に結んだが、今年3月26日に二次破綻し、会社更生法適用を申請した。
報告書では特定調停について「市の資金調達や地域開発にも多大の影響が生じると想定され、民事再生の選択は困難との考え方が支配的だった」と指摘。その後の経営悪化も市港湾局のみの問題として扱われ、「全市的な取り組みにならなかった」としたが、具体的な責任の所在は明らかにされなかった。
平松市長はこの日の記者会見で「組織体質は指弾されるべきだが、個人の責任に転嫁するのは難しい」と強調。そのうえで「最高責任者である市長の結果責任は免れない」と話し、特定調停を結んだ関淳一・前市長の責任に言及するとともに、「会社更生法の最後のボタンを押したのは私の責任」と述べた。
一方、同時期に特定調停を結んだ「アジア太平洋トレードセンター」(ATC)などの三セクに比べ、WTCの債権放棄額が極端に少ない理由やWTCビルの高さが変更された理由について「明らかにできなかった」と述べ、今後は「納得いかない点を市長として金融機関に調査する」とした。
平松市長は07年の市長選で、WTCについての説明責任を果たすと公約。昨夏に特定調停調査チームを発足させ、当時の助役や担当者ら15人に聞き取りを実施した。