朝日新聞は4月19日、次の報道を行いました。
大阪府の橋下徹知事が関西圏の交通網整備に意欲を燃やしている。途切れている高速道路や鉄道の「ミッシングリンク」(失われた環(わ))を解消し、経済の活性化を狙う。だが、数千億円規模の巨大プロジェクトに、おひざ元の平松邦夫・大阪市長は慎重姿勢。橋下知事は「関西が発展しないのは大阪市が原因」といら立ちを見せる。
「関西はインフラがぶつ切りで、つながれば効果は100倍にも千倍にもなる」
3月20日、首相官邸。経済危機克服のための有識者会合に招かれた橋下知事は、麻生首相に大阪市中心部で高速道路や鉄道が途切れている現状を説明。「今まで予算の削減ばかりやっていたが都市改造をやりたい」と強調した。
橋下知事が指摘するミッシングリンクの一つは自動車専用道路「淀川左岸線延伸部」。大阪市と門真市を走る延長10キロで、整備されると来春に開通予定の第2京阪と阪神高速湾岸線がつながる。もう一つはJR新大阪駅と難波駅などをつなぐ延長10キロの新線「なにわ筋線」。橋下知事は「大阪市中心部と関空を30分台で結べる」と関空活性化に必要なインフラと訴える。
事業費は共に3千億円規模。5兆円の借金を抱え、「将来世代に負担を先送りしない」と歳出削減を進めてきた橋下知事。だが、「将来世代のために必要な社会インフラなら、借金を負わせても作るべきだ」と主張する。
理由に挙げるのは首都圏とのインフラ格差だ。麻生首相が10日に発表した約15兆円の補正予算案を含む新経済対策について「東京の外郭環状道路は記載があるが、関西は明確な記載がない」と、不満顔だ。なにわ筋線実現に向け、各界のトップが集まった17日の懇談会でも、86年以降の首都圏と関西圏の鉄道整備状況を比較してこう嘆いた。